あなたがいてくれた‐いじめ‐



結局、今日一日授業を受けることはなかった。

ずっと屋上で、独り、空を見てた。


下校は利世を避け、少し早めに学校を出た。



すぐ近くの交差点を渡ろうとしていた時、


「優衣ちゃん」

声がした。

聞いたことのある声。


私の、大好きな声――――・・・。




この感情は何だろう。


喜び。不安。


『コマなんだよ。』


川瀬の声が私の頭の中を何度も行ったり来たりしている。

離れない。

しっかりこびり付いていて、取れない声。


「何だよ、無視かよ」

面白くなさそうな声が聞こえた。

それは本物?それとも偽りなの・・・?


「か、要君。」


「うん、どうしたの。元気ないね、また何かあった?」




「―――お・・・お話があります。」






青信号が赤信号に変わった。













< 95 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop