あなたがいてくれた‐いじめ‐
結局、今日一日授業を受けることはなかった。
ずっと屋上で、独り、空を見てた。
下校は利世を避け、少し早めに学校を出た。
すぐ近くの交差点を渡ろうとしていた時、
「優衣ちゃん」
声がした。
聞いたことのある声。
私の、大好きな声――――・・・。
この感情は何だろう。
喜び。不安。
『コマなんだよ。』
川瀬の声が私の頭の中を何度も行ったり来たりしている。
離れない。
しっかりこびり付いていて、取れない声。
「何だよ、無視かよ」
面白くなさそうな声が聞こえた。
それは本物?それとも偽りなの・・・?
「か、要君。」
「うん、どうしたの。元気ないね、また何かあった?」
「―――お・・・お話があります。」
青信号が赤信号に変わった。