あなたがいてくれた‐いじめ‐
止まっていた車が動き出した。

そして、要君を睨んだ。

「川瀬レイって知ってる?」

要君の目が大きく見開いた。

「川瀬レイと昔付き合ってたの?」

ただ呆然と立ち尽くす要君を見て、止まらなくなった。

「川瀬に利用されてるって本当?私を落とし入れるために、あの時助けてくれたの?
優しさは嘘なの?どうして・・・どうして・・・」


大粒の涙が落ちた。


「何も言ってくれないの!!!!!!!」



民衆の目にもくれず、私は大声で泣いた。

要君は喋らないし、動かない。

川瀬の言うことを信じるしかなかった。

信じたくなかったけど、要君の顔が、心が、真実だと言っているようで。



赤信号が青に変わり、私は勢いよく走り出した。






さよならの意味をこめて。




< 96 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop