あなたがいてくれた‐いじめ‐
交差点を過ぎ、まっすぐ家へ向かう。

見慣れた風景。

私の家は、もう数メートルと言うところで・・・人影。

「優衣!!」

よかった、と安堵の声を漏らした。

「気、悪くさせたらごめん。お母さん・・・何の仕事してるの?」

―――半年ぶりだろうか。

「・・・帰ってきたの?」

「うん・・・。優衣、悪いことされてない?」

心に刺さるものがあった。

「・・・大丈夫だよ。昔の話。」

「昔って・・・っ」

利世の声は強くなった。

「アイツね、男と遊んでるの。金貰ったり、取られたり。」

自然と胸が熱くなった。

「お父さんは、アイツに嫌気が差して出てったの。それだけ。」

「それだけって・・・生活は・・・。」

「貯金あるし、大丈夫。」

自分の話しをするのは、とても嫌だった。

特に過去の話は。

辛いことしかないから。


「それより、ごめんね。無視して帰って。」

話をそらそうと、自分からその話題に触れた。

察したように暗かった顔がさらに曇った。

川瀬に聞いたよ、と呟いた。







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