√番外編作品集
ゆっくりと瞳を開ける
──……ような、錯覚。

これは夢だ。
ここのところ、ずっと見ている夢。

暗い部屋
天井に細く小さな窓が線上に並ぶ。
私はゆっくりと壁に向かって歩き始めた。

足取りは重く、暗い壁をじっと見てる。

壁に指を立てる。
爪が割れていた。

壁をひっかくように、指を下へ降ろす。

それをずっと繰り返す。

何度も、何度も、何度も、何度も──
何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も・・・


そして、やっと指の間から血が滲んで、壁に、「1」という数字が描かれる。

指には痛みがなかった。
『私』は休まずにその傷から滲んできた血を溜めて、「1」の傍に「5」を書いた。

「15」


やめて



やっと苦痛を感じた。
やっと自分が見ているものが、いつもの夢の続きだと気付いた。
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