√番外編作品集
「山岡ちゃんも帰った?」

「生徒会室に行ったよ。届け出で」

「帰ってくるかな」

「話があるなら迎えにいけば?」

黒沢はそれだけ行って、廊下に消えた。

なんだか心の中を読まれたような気分になったけど、まぁ、話があるなら行けばって当然のことだな。

生徒会室へ向かうと、山岡ちゃんが出てきた所だった。

飲食扱いの許可がやっと出たのだと、証明書を見せてきた。

決まるのが遅かったから、最後まで手こずったらしい。

「ねぇ、山岡ちゃん話があるんだけど」

「何?」

「屋上行かない? 星キレイだよ。さっき海行ってきてさ夕焼けキレイだった」

「サボってたでしょ。面倒でも手伝ってよね。もう」

「違うよ、広報活動してたの!」

山岡ちゃんは笑っていた。

別にウソでも本当でも、構わないという顔だった。

まぁ、いても俺、うるさくして作業の邪魔になるだけだし的を得てるけどさ。

屋上に上がろうとすると、文化祭対策のためか施錠されていた。

科学部が使うと言っていたから、そのための立ち入り禁止なのかもしれない。

「あー、閉ってる」

屋上で告白なんて、ベタすぎるから神様も締め出ししたのか。

「屋上に何かあったの?」

「何かある予定だったんだ」

俺のぶっ壊れた日本語に山岡ちゃんが首を傾げた。

白い蛍光灯が屋上に向かう階段を薄暗く照らしていて、ちょっとだけ薄気味が悪い。
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