√番外編作品集
「屋上で山岡ちゃんに告白するつもりだった」

階段に足をかけたまま、同じ線上にいない俺と山岡ちゃん。

y=ax+2の角度で、山岡ちゃんは二段下で俺を軽く見上げていた。

「俺、山岡ちゃんが好きだよ」

ジージーと、外の虫の音が聞えるくらい

音という音に敏感になっていた。

どこかのアホが屋上に上がってきたりしませんようにとか、そんなこと考えていたりもする。

この状況を見られるのって意外とハズい。

一段階段を降りる。

そして、もう一段。

同じ線上に、俺と山岡ちゃんは立った。

中心を俺と山岡ちゃんの真ん中としたら

距離は-3<=0=<3

「気付いてくれてると思ったんだけど……私」

山岡ちゃんは、困ったような顔をして、垂れた髪を耳にかける仕草をした。

距離は、変わらないまま。

「私はね、潤が好きなんだ。冗談とかじゃなかったんだよ」

「うん知ってるよ。だからこれ、俺のワガママなんだけどさ、言っておきたいじゃん」

距離は、変わらないまま。

「そっか」

こういう時、どう答えていいのか俺も山岡ちゃんも分からない。

敦ちゃんなら、何ていうかな。
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