√番外編作品集
文化祭は、予想以上に繁盛した。

当日は残暑も厳しく、喫茶店が人気沸騰したのだ。

出店チラシを握らせた3人組が、予想以上に口コミをしてくれた効果もあって昼過ぎには2度列ができた。

黒沢なんかはひたすら因数分解の閃き(と言う名のオレンジジュース)を飲んでいただけだ。

(ちなみにニュートンの喜び、という名のリンゴジュースも人気だった)

こいつに接客業は向かないと、俺も敦ちゃんの意見には賛成だ。

「山岡ちゃん」

「はーい」

「飲み物とか足りてる? 足りなそうだったら矢井田とかに買い出し行ってもらうけど」

裏に顔を出すと、山岡ちゃんは元気よく「オレンジジュースが足りない」と答えてきた。

そして額の汗を軽く拭って、俺にソーダを差し出してくる。

「お疲れ様やっぱり河田君は人気だね。びっくりしちゃったよ、それに似合ってるよそのスーツ」

「そう? 見立ててもらったからね」

誰に?と突っ込んでこないところが、山岡ちゃんのいいところだ。

「でも山岡ちゃんは黒沢のスーツ姿の方がポイント高いんでしょ? にしてもあいつ、もっと愛想良くしろよなぁ」

意地悪を言うと、山岡ちゃんは少し照れた様子ではにかんだ。

俺も苦笑する。

黒沢からあきらかに面倒だというオーラが出てるのが俺には見えた。

「ああやってるの、俺たちのためだから」

昨日

俺は結局敦ちゃんと一緒にマクドに行った。
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