√番外編作品集
フィッシュバーガー2つを3分で丸飲みして、ヤケくそ状態でカラオケに敦ちゃんを連行した。

敦ちゃんは新曲ばかりうたって、でも最後はaikoを歌ってくれた。

aikoと言えば失恋を癒す曲だろ。

狙ってるにしては心に響きすぎた。

敦ちゃんの歌い方は、ちょっと鼻にかかったまるでAyuみたいな歌い方だったけど上手だった。

暗かったからちょっとだけ涙でそうになったよ。

「うん、知ってる。元気になって欲しいってそういうことだよね」

山岡ちゃんは聡明だ。

そんな所が俺は好きなんだろうな。

「ねぇ山岡ちゃん、山岡ちゃんの運命の人の席はもう埋まってるでしょ」

俺は山岡ちゃんの返事をまたず続けた。

「俺の女神の席もね予約済みになったんだ。席は2つあってさ」

山岡ちゃんに一気飲みしたソーダを渡す。

「山岡ちゃんが座ってくれるの、待とうと思う。ちゃんと待つってことが出来るようになれると思う」

「コウくーん、お嬢様がお帰りですよー」

冗談めかした声が響く。

俺は裏方から引いて、入り口を見た。


そこには早苗さんがいた。

悪戯っぽい笑顔をたたえて俺を見つめていた。

「ねぇ、ついでにジュンくんも指名したいな」

「ダメだよ。オレンジジュースばっかり飲まされるよ」

早苗さんの手を引くと、早苗さんはゆっくりその手を握りかえした。
< 108 / 256 >

この作品をシェア

pagetop