√番外編作品集
┣ケミカルスノウ
中学2年
冬
付き合いだした男は
血の繋がらないイトコだった。
継母の甥
小学校の頃はお互いを下らない理由で苦手意識で遠ざけていたけど
いつの間にか
私は彼が好きになっていた。
部活で日焼けする私とは違って
もやしみたいに肌が白くて
真っ黒な髪と真っ黒な目。
身長は少しだけ彼の方が高い。
でも去年の身体測定では、私の方が勝ってた。
抜かれた時は何だか負けた気がしたけど、男子はこれからどんどん身長が伸びるから
2、3年したら潤は私を平気で見下ろすようになるのかもしれない。
……あんまり想像はつかない。
彼は元男子ラクロス部で、部内で問題を起して1年の終わりに辞めていた。
だから部活はやっていなかったけど
最近、美術部の先生に気に入られ
放課後キャンパスに向かって絵を描いていた。
絵が好きなのかと聞いたら
「別に」
とそう答えた。
何を描いているかも教えてくれない。
見られたくないのかもしれない。
だからいつも、私が部活を終えて美術室へ向かう前に、キャンパスに向かう手を止めて、テニス部の私のもとへやってきた。