√番外編作品集
この先、どうなるかなんて分からないけれど

高校に入って潤の背が私より高くなったとしても、多分好き

成人式を迎えてもまだオレンジジュースばかり飲んでたとしても、多分好き

もし、私以外の誰かと結婚するようなことがあっても、好きだよ

変わらないものがある

あなたが好きなの


だから、今はあなたの心の奥

海の底まで潜るのを止めるけど

でも私

何度だって、潜って見つけてみせるから……


黙っていた私を見ていた彼が青空の傘の下、ゆっくりと瞳を細めた。


トン、と小さな音がして傘が雪の上に落ちた。

風に煽られて落としたのかと思って落ちた傘へ視線を投げると、それを遮るように潤の顔が近づいた。

風が止んだように感じた。


感じたのは、彼に抱きしめられたから。

ひやりと冷たい雪の花弁が頬に落ちる。

傘を失った私と彼に灰色の空から雪が降り注いでくる。

「……」

次から次へと叩きつけるように、吸い寄せられるように降り注いでくる雪

頬に、瞼に、睫に


ただ唇だけは、雪がかかることはなかった。


潤の冷たい唇。


睫におちた雪を溶かすように、涙が落ちた。

こんなに体中冷たいのに、涙は雪より温かくて

雪を溶かして滑り落ちた。




ねぇ潤


好きだよ
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