√番外編作品集
──────はぁ




失敗したなぁ

当たり前だよね

白砂海岸に鯨が打ち上げられるわけないのに、敦子に騙されちゃった。


それが本当だったらもっと大騒ぎになってるはずなのに。

本当かと思って海岸まで行っちゃったよ、もう。敦子ってば酷い。

せっかくの休み、みんなでお茶しようって誘ってくれたの敦子なのに。

『千恵! 白砂海岸に千恵の大好きな鯨が打ち上げられたんだって!』


ケータイを取り出して、敦子から届いたメールを見る。

河田君も敦子が乱闘してるとかウソついたし。

おかげで18時の約束なのに30分も遅刻しちゃったし。

もう。

だまされる私がいけないんだけど、みんな私がだまされやすいの知っててあぁいうことするのかな。

私の手の中、潤が取ったヘアピンを見る。

取れかけてたの、かな?

なんだか分らないけど潤が触ったヘアピン、なんか貴重だな。

でも、もし似合わないとかいう意味だったら嫌だな。

「そんなこと考えてもしょうがない」

口に出して気持ちの方向を変える。

席を立った潤が残していったジュースと視線が合った。


黒いストローがささったオレンジジュース。

手前にはケーキと紅茶があって、多分そっちは敦子だろう。

オレンジジュースが置いてあれば潤、それは間違いない。

……飲んでいい、って言ってたよね

エイプリルフールのウソじゃないよね
< 132 / 256 >

この作品をシェア

pagetop