√番外編作品集
気がついたら雨が降り始めていた。
マークシートを塗りつぶす手を止めて
黒沢潤は外へ視線を投げた。
潤は、他校の学生に紛れてセンター模擬を受験していた。
彼は高校2年ではあったが、センター入試なるものが
どんな形式で進められるのか
興味があり、個別申し込みでこの模擬に参加していた。
周りはほとんどが高校3年か浪人生で
どう考えても同い年はいなかったが
勉学に年齢は関係ないと思っていたので気にしなかった。
だからだろうか、余裕が出て試験中に外を見てしまうなんて。
模擬は普通に難易度は高かったし
時間に余裕があったわけではないのだが時期はずれの雨に、視線が誘われた。
あまりよそ見をしていると、試験官に注意されるのですぐ視線をマークシートに戻す。
潤の通う二条西高校は、1年は共通、2年から特進クラスと普通科に別れる。
普通科から特進科へ希望する学生は
成績と面接によって考慮され、クラス分けされる。
潤は、特進2Bにいた。
2Aは文系の特別進学クラスで、2Bは理系の特別進学クラスとなる。つまり潤は理系へ進んだ。