√番外編作品集
外へ出ると、入り口で1人少女が立ちつくしていた。
少女は離れていても分かるくらいに、波のような黒髪に、白く伸びた白い四肢を持っていた。
外の雨をじっと見つめている。
潤はその視線の先が雨であることに気づいて、手にしていた黒い傘を持ち替えた。
「傘、忘れた?」
「え?」
急に声をかけられて、外の雨を見つめていた少女……──七海は驚いて声をした方を見た。
声をかけてきた少年は、見覚えのある高校の制服を着ている。
癖で背を向け、顔を隠した。
「雨止まないよ、出てくる時、降水確率80%で夕方から土砂降りだって言ってたから」
潤の言葉に、七海は思い切り動揺した。
会場から出て、友達の吉沢アヤトを探したのだが姿はなく
電話をしたら今日彼は体調不良で会場には来ていないと言うではないか。
他に迎えをお願いできるような無理強いのできるような友達はいないので、呆然としてしまった。
車で迎えにきてくれる人の心当たりもあったのだが、時間はまだ昼の3時で、その人は今は一生懸命仕事をしているに違いなかった。
「よかったら……」
「い、いいです」
まだ何も言ってないのに、と潤は思いながら、視線を一度自分の手元の傘に投げた。
見も知らない人間と傘を一緒にするなど、七海には考えられなかった。
むしろ話をするのも怖かった。
声をかけてきた相手には悪いとは思ったが、七海にできる「初対面の対応」はこれが精一杯だった。
少女は離れていても分かるくらいに、波のような黒髪に、白く伸びた白い四肢を持っていた。
外の雨をじっと見つめている。
潤はその視線の先が雨であることに気づいて、手にしていた黒い傘を持ち替えた。
「傘、忘れた?」
「え?」
急に声をかけられて、外の雨を見つめていた少女……──七海は驚いて声をした方を見た。
声をかけてきた少年は、見覚えのある高校の制服を着ている。
癖で背を向け、顔を隠した。
「雨止まないよ、出てくる時、降水確率80%で夕方から土砂降りだって言ってたから」
潤の言葉に、七海は思い切り動揺した。
会場から出て、友達の吉沢アヤトを探したのだが姿はなく
電話をしたら今日彼は体調不良で会場には来ていないと言うではないか。
他に迎えをお願いできるような無理強いのできるような友達はいないので、呆然としてしまった。
車で迎えにきてくれる人の心当たりもあったのだが、時間はまだ昼の3時で、その人は今は一生懸命仕事をしているに違いなかった。
「よかったら……」
「い、いいです」
まだ何も言ってないのに、と潤は思いながら、視線を一度自分の手元の傘に投げた。
見も知らない人間と傘を一緒にするなど、七海には考えられなかった。
むしろ話をするのも怖かった。
声をかけてきた相手には悪いとは思ったが、七海にできる「初対面の対応」はこれが精一杯だった。