√番外編作品集
「受け取ったのが私でよかったね。そうじゃなきゃ、しばらくあんたのとこに返ってこなかったよ」
「ほら、感謝しろ」と偉そうに胸を張ってくる。
「まずは事務棟に行って、管理棟に行って、失敗すれば用具倉庫で忘れ物傘と一緒くただよ」
「どうも……」
「じゃね!早く帰んなよ!」
こんな晴れの日に傘を持ってるのも変だと思いつつ
背を向けて廊下の向こうへ消える保健医を見送る。
「あの先輩、わざわざ……?」
ぽつり、と呟いて傘を見た。
名前も告げていなかったし
微妙に受け取りを拒否られていたと思ったのに
…………丁寧な先輩だな。
どんな顔だったか思い出そうとしたが、思い出せなかった。
ただ、抜けるような白い肌と、波のような黒髪だったことだけ、ぼんやりと思い出せた。
だが、すぐ消えた。傘は戻ってきたし、それでよかった。
傘を持ち替えて教室へ向かった。
たまにはいいことをするもんだ。そんな風に結論づける。
青空の広がる傘を差さずとも外は晴れ。
昨日の雨は何だったんだろう。
潤は傘を机の横へかけた。
END Thank you!
「ほら、感謝しろ」と偉そうに胸を張ってくる。
「まずは事務棟に行って、管理棟に行って、失敗すれば用具倉庫で忘れ物傘と一緒くただよ」
「どうも……」
「じゃね!早く帰んなよ!」
こんな晴れの日に傘を持ってるのも変だと思いつつ
背を向けて廊下の向こうへ消える保健医を見送る。
「あの先輩、わざわざ……?」
ぽつり、と呟いて傘を見た。
名前も告げていなかったし
微妙に受け取りを拒否られていたと思ったのに
…………丁寧な先輩だな。
どんな顔だったか思い出そうとしたが、思い出せなかった。
ただ、抜けるような白い肌と、波のような黒髪だったことだけ、ぼんやりと思い出せた。
だが、すぐ消えた。傘は戻ってきたし、それでよかった。
傘を持ち替えて教室へ向かった。
たまにはいいことをするもんだ。そんな風に結論づける。
青空の広がる傘を差さずとも外は晴れ。
昨日の雨は何だったんだろう。
潤は傘を机の横へかけた。
END Thank you!