√番外編作品集
「山岸、さん」
声を掛けられて、前を見る。
HR中にプリントが回ってきたらしい、私は受け取って後ろに回した。
「名前、同じ"山"がつくね、私、山岡千恵、よろしくね」
「そうだね、私山岸絵里子。絵里子って名前で呼んで」
「うん、私も千恵って呼んで」
名字の漢字が1つ被ったなんてそれだけの接点。
だけどそんな記号のおかげで、私は進学クラスで初めての友達ができた。
きっかけはいつもとてもシンプル。
複雑な出会いなんて、意外と少ないもの。
とか言って
複雑なものは、試験問題や課題だけにしたいだけかもしれない。