√番外編作品集
これが、本当にライバルといえるヒトなんだと思った。
「好きな人できた?」
沙織と千恵が嬉しそうに顔を寄せてきた。
「いやそうじゃなくてライバル意識っていうか」
「なんだぁ、そういうのはいいよ。クラスのヒトなんてみんなライバルなんだから」
「でもその上で特別で意識してるなら、もしかして好きなんじゃない?」
千恵はとんでもないことを言ってきた。
「そう……なのかな」
「そうだよ」
それで、誰? と沙織は結論を急いだ。
「……先に言っておくけど、まだ、気になってるだけだからね」
「分ってるって、で? 誰誰」
私が小声で呟いたのを、2人は騒がしい昼休み中だというのにしっかりと聞きつけた。
「ウッソー! そこ? 真面目なのがいいの? あーってか、真面目ではないか」
授業殆ど寝てるし河田とつるんでるし。
沙織はちょっと嫌そうに言ってはみたが、にやりと笑った。
「いいんじゃない? 私応援するよ?」
「うん、私も応援するよ絵里子」
2人にそう言われると、別にそんな気もなかったハズなのに変に意識してしまった。
人を好きになるのも、実はとてもシンプルなことなのかもしれない。