√番外編作品集
お気に入りの赤いケータイに

みんなでカラオケに行った時に河田君から聞き出して

黒沢君の電話番号を登録した。


電話をするわけでもないのに、アドレス帳を何度も見て

特別なグループに1人だけ登録して

いつも電話しようって思って通話ボタンを押せなかった。



一方的に思うだけで

ちゃんとした会話はできてなくて

いきなり電話しても絶対変。


千恵と話したときみたいに、何か小さな接点があればいいのにと思いながらも

何度かした席替えも不発で終わってしまって

ずっとずっと、目線だけ送っていた。




恋愛にも、黒沢君が解いたみたいに、まっすぐで分りやすい近道があればいいのに。

でもそんな私の背を押してくれたのは


友達でも先輩でもない

優しさや友情でもない



死の恐怖っていう、切迫したものだった。

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