√番外編作品集
知ってる、この声。
飯島さんだ。
こんな
こんな
遅い時間にどうして。
「…っ…ハァ…ハァ…」
収まっていた涙がまたこみ上げてきた。
そうか
好きな人ってやっぱり、飯島さんなんだ。
ぎゅうと、胸が締め付けられた瞬間。
鼓膜がはち切れるみたいに、歌声が頭いっぱいに広がった。
そして
これが恋なのだと
私は"わたし"に教わった。
とたん
ボリュームを上げたみたいに、歌がストレートに脳に響いた。
「う……が……うたが」
音の洪水と心の制御ができずに、傍にあったバスのベンチで倒れるようにして伏せると、意識がなくなった。