√番外編作品集
目が醒めたのは、耳から聞える歌声に誘われて。

外は、真っ暗だった。

帰らないと、それに


「千恵に、電話……」


応援してくれてた千恵に、電話しなきゃ。

ダメだったって、届かなかったって。

恋に向かい合えなくて、逃げてしまった。

私なんかじゃ無理だって。

否定されるのが恐くて、もうこれ以上は進めない。

恋を知った。恐いものだ。

答えなんてない、私はそんな不確定なものに

向かい合うなんてできない。


歌声が耳について、手が動かなかった。

考えることを拒絶しているのが分った。

問題を解くのを諦めて私は森の中立ちつくしてる。

発信記録から千恵の名前を選ぶまでが限界だった。

ふらふらと、体が言うことをきかない。



響いてくる歌声



この声。




知ってる。

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