√番外編作品集
死の待受けから解放された後の俊彦のケータイの待受けには、死んだ渋谷景との2ショットの写真が戻ってきた。
笑顔の彼女、笑顔の自分
事件に遭うまではなんとも思わずに待受けにしていたその画面を、見つめるのが辛かった。
もう自分の傍に彼女はいないのだと、待ち受けを見るたび再確認させられて苦痛だった。
今俊彦のケータイの待受けは何の変哲もない、プリセットの砂時計の待受け画像だった。
「堀口さん」
声をかけられて、俊彦は振り返った。
そこには、死の待ち受けに一緒に立ち向かった少女が立っていた。
「やっぱり堀口さんだ、背高いからすぐ分ったよ」
肩からデコルテにかけて、ゆるく巻いた黒髪──少し茶色いが元々のなのだろう、愛らしい二重に大きな黒い目
少し焼けた肌、胸元には銀色のネックレスが輝いていた。
「飯島」
「そーでーす。お久しぶりです!」
飯島敦子は赤信号で止まると隣の俊彦をじっと見た。
「模試、どうでした?」
「え?」
「花火大会、来られなかったのって模試があったからなんでしょ?」
「あぁ、先月のな。明日結果帰ってくるよ」
「堀口さんって進学するんですよね」
向いの青信号が点滅する。
「推薦でK大狙ってはいるけど、一応安全対策で私立のO大とかも視野に入れて」
「え? K大? マジ……」
「教育学部行くんだよ教師に憧れててさ」
「先生は似合いそうだけど~K大とかありえないよ……頭いいんだなぁ、堀口さん」
敦子は露骨に嫌な顔をして、青信号になった横断報道を歩き出した。
笑顔の彼女、笑顔の自分
事件に遭うまではなんとも思わずに待受けにしていたその画面を、見つめるのが辛かった。
もう自分の傍に彼女はいないのだと、待ち受けを見るたび再確認させられて苦痛だった。
今俊彦のケータイの待受けは何の変哲もない、プリセットの砂時計の待受け画像だった。
「堀口さん」
声をかけられて、俊彦は振り返った。
そこには、死の待ち受けに一緒に立ち向かった少女が立っていた。
「やっぱり堀口さんだ、背高いからすぐ分ったよ」
肩からデコルテにかけて、ゆるく巻いた黒髪──少し茶色いが元々のなのだろう、愛らしい二重に大きな黒い目
少し焼けた肌、胸元には銀色のネックレスが輝いていた。
「飯島」
「そーでーす。お久しぶりです!」
飯島敦子は赤信号で止まると隣の俊彦をじっと見た。
「模試、どうでした?」
「え?」
「花火大会、来られなかったのって模試があったからなんでしょ?」
「あぁ、先月のな。明日結果帰ってくるよ」
「堀口さんって進学するんですよね」
向いの青信号が点滅する。
「推薦でK大狙ってはいるけど、一応安全対策で私立のO大とかも視野に入れて」
「え? K大? マジ……」
「教育学部行くんだよ教師に憧れててさ」
「先生は似合いそうだけど~K大とかありえないよ……頭いいんだなぁ、堀口さん」
敦子は露骨に嫌な顔をして、青信号になった横断報道を歩き出した。