√番外編作品集
信号を渡ったビルの地下に集合場所の喫茶店コートダジュールがあった。
コートダジュールはビルの地下にあるということに関係なく、照明がワントーン暗い。
冷房の効いた店内は外の暑さから開放されてほっとする反面、眠気も同時に襲ってくる。
アールデコ調の調度品が並び高校生が気軽に足を踏み入れて、きゃっきゃと話をするような喫茶店ではないことは、空気で分かっている。
「堀口さん」
案内された席に1人少女が座っていたが、俊彦の姿を確認すると席を立った。
敦子と同じ二条西高校の2年生、山岡千恵だった。
敦子と比べると白い肌。肩に軽く掛かるくらいのショートヘアに、知的な黒い瞳。
「よぅ、久しぶり」
手を上げて挨拶をすると、席を詰める。
席には俊彦をここへ呼びつけた潤の姿はなかった。
「黒沢は?」
俊彦はアイスコーヒーを頼みながら千恵に問いかけた。
カバンを足元に置きながら、少し遅れるそうです。と彼女からは凛とした返事を返ってくる。
「潤、バイトだって言ってました」
「バイト? 黒沢が?」
俊彦は大声を上げそうになったのを押さえながら、2人の返答を待った。
「サイエンス社だって。ほら霧島さんの働いてたとこ。霧島さんが書こうとしてた記事を、潤が完成させるんだって」
その記事に心当たりがあり溜飲した。死の待ち受けについての記事だ。
敦子は潤が好きだ。
彼女だけではない
千恵も潤が好きだというのを、俊彦は知っていた。
コートダジュールはビルの地下にあるということに関係なく、照明がワントーン暗い。
冷房の効いた店内は外の暑さから開放されてほっとする反面、眠気も同時に襲ってくる。
アールデコ調の調度品が並び高校生が気軽に足を踏み入れて、きゃっきゃと話をするような喫茶店ではないことは、空気で分かっている。
「堀口さん」
案内された席に1人少女が座っていたが、俊彦の姿を確認すると席を立った。
敦子と同じ二条西高校の2年生、山岡千恵だった。
敦子と比べると白い肌。肩に軽く掛かるくらいのショートヘアに、知的な黒い瞳。
「よぅ、久しぶり」
手を上げて挨拶をすると、席を詰める。
席には俊彦をここへ呼びつけた潤の姿はなかった。
「黒沢は?」
俊彦はアイスコーヒーを頼みながら千恵に問いかけた。
カバンを足元に置きながら、少し遅れるそうです。と彼女からは凛とした返事を返ってくる。
「潤、バイトだって言ってました」
「バイト? 黒沢が?」
俊彦は大声を上げそうになったのを押さえながら、2人の返答を待った。
「サイエンス社だって。ほら霧島さんの働いてたとこ。霧島さんが書こうとしてた記事を、潤が完成させるんだって」
その記事に心当たりがあり溜飲した。死の待ち受けについての記事だ。
敦子は潤が好きだ。
彼女だけではない
千恵も潤が好きだというのを、俊彦は知っていた。