√番外編作品集
「寄せ付けない……そうですね人付き合いを面倒と思ってるタイプですね。高2のくせに随分達観してるっていうか」
「あぁ言った風体なのに嫌われないし、ちゃんと人はついてきてるよね」
「生き方は下手だと思いますけど、根はすごくいいヤツなんだと俺は思いますよ」
「そうだね」
霧島はそこまで言うとまた瞳を閉じて、まるで瞑想するかのように暫く黙ると席を立った。
「出よう、さすがに危険の香りがする」
喫茶店を出てすぐに霧島は千恵のケータイへ電話をかける。
俊彦は焦ってそのコールを止めた。
「彼女は、死の待ち受けが出てます」
俊彦はコールが始まる前に電源ボタンを押して通話を終了させた。
死の待ち受けは表示されている人間の最後の発信と着信に飛んで増えていく。
今表示されている人間の着信として残るのは、自分に死の待ち受けを呼ぶようなものだった。
だが霧島は表情を変えず、そうだったねと感情のない声で答えた。
別に表示されても構わないと言いたそうな瞳だった。
「俺が山岡にかけます。霧島さんは黒沢に電話して下さい」
喫茶店の冷房から解放されて、綿あめのように絡みつく暑さが2人の体を包む。
お互い明後日の方を向いて電話に集中する。
霧島は繰り返されるアナウンス音声を何度か聞くと、コールを諦めた。
靴の先にポツリと雨粒が落ちてくる。
見上げると淀んだ空から、雨粒が探索を縫い止めるようにして降り注いでいた。
「あぁ言った風体なのに嫌われないし、ちゃんと人はついてきてるよね」
「生き方は下手だと思いますけど、根はすごくいいヤツなんだと俺は思いますよ」
「そうだね」
霧島はそこまで言うとまた瞳を閉じて、まるで瞑想するかのように暫く黙ると席を立った。
「出よう、さすがに危険の香りがする」
喫茶店を出てすぐに霧島は千恵のケータイへ電話をかける。
俊彦は焦ってそのコールを止めた。
「彼女は、死の待ち受けが出てます」
俊彦はコールが始まる前に電源ボタンを押して通話を終了させた。
死の待ち受けは表示されている人間の最後の発信と着信に飛んで増えていく。
今表示されている人間の着信として残るのは、自分に死の待ち受けを呼ぶようなものだった。
だが霧島は表情を変えず、そうだったねと感情のない声で答えた。
別に表示されても構わないと言いたそうな瞳だった。
「俺が山岡にかけます。霧島さんは黒沢に電話して下さい」
喫茶店の冷房から解放されて、綿あめのように絡みつく暑さが2人の体を包む。
お互い明後日の方を向いて電話に集中する。
霧島は繰り返されるアナウンス音声を何度か聞くと、コールを諦めた。
靴の先にポツリと雨粒が落ちてくる。
見上げると淀んだ空から、雨粒が探索を縫い止めるようにして降り注いでいた。