√番外編作品集
隣にはだれもいない。

山岡ちゃん1人きりだった。

「あれ、今日はクラスの子とお弁当食べてないの? 市川とか大橋とか」

「ちょっとね」

山岡ちゃんはそこまで言うと、弁当箱を包み片付け出した。

せっかくの昼飯のBGMが、修羅場だったのは申し訳ない。

「広い夏の空が見たかったから」

「そっかー あーぁ、しっかし、南都美マジギレだったなぁ。山岡ちゃん、こういう時どうすればいいと思う?」

「ちゃんと謝って、浮気はやめた方がいいよ」

「浮気じゃないんだよ、ホント、普通に友達と遊んだだけなんだよ」

本当に?

という疑いというか、真理をさぐろうと言うのか

そんな目で山岡ちゃんは俺を見てきた。

「じゃ、聞くけど、山岡ちゃんは彼氏の遊びってどこが限界? 」

「え? 遊びって」

「だから、恋愛においての、本気か本気じゃないかの境目ってどこから?」

「私は……その……」

山岡ちゃんは開いていた本を伏せると、困って視線を泳がせた。

まぁ、困るだろうけど。

山岡ちゃんってば、常に直球勝負なかんじだし。

遊びで付き合い始めるとか、なさそー。

「遊びっていうか、自分の気持ちが分からないときは自問自答してるっていうか。少しずつ自分気持ちが本当か、確かめてるから……遊びなんて、ないよ。恋愛を遊びなんかじゃできない」
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