√番外編作品集
グラフだって、その2つがなければ点も線も描けない。

yの座標を知るためには


黒沢曰く、「答え」に辿り着くための過程が大切だ。


俺にとってy座標を示してくれるのは

まだ見ぬ運命の人なんだと、俺は思う。

「自己ベスト更新ー!」

タイムは今まで振り切れなかった1分を切った。

平泳ぎが苦手な俺としては、結構イけてるタイムなのだ。

水泳部の諸君は、笑わないように。

一緒に泳いだ高陸と岸三田と話ながら、次の泳者を視線で見送る。

黒沢は勝手にもうシャワーへと向かって行ってしまった。

クラスメイトとの馬鹿話は、楽しい。

青春してる、生きてる! って思えるからスキだ。

難しく考えすぎてショートした頭には丁度良い。

「それはそうとさ、康平、あのさ」

「ん?」

岸三田が、タオルを渡しながら少し声を潜めた。

「お前、山岡と仲いいよな?」

「あ、まぁそうだな」

「黒沢と付き合ってるってマジ?」

「いや、んな訳ないだろ」

少し機械的な反応をしたが、岸三田はそうかーと胸をなで下ろした。

「だよなー黒沢にはあのD組のテンション高いコがいるもんな」

それは敦ちゃんのコトだろうか。
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