√番外編作品集
「ちょっっとぉ!バカワダ!!」


クラスに帰るなり、D組の敦ちゃんがやってきた。


黒沢が「敦子」と名前で呼ぶ唯一の女子かもしれん。


黒髪はデコルテまでゆるく巻き髪になっていて、でかい黒目に、整った眉。

これで爪にネイルアートでもされてればギャルなんだけど、敦ちゃんはソフトボール部なので爪はキレイに切りそろえてあって、山岡ちゃんより深爪気味。


「南都美になんてことすんのよ」

筋肉ある腕。

健康的に焼けた肌、多分Cカップ。

まるで猫みたいな、そんな俺的女神ランクA+


「なんてこと? ケンカ両成敗だって」

「意味不明、南都美泣いてたよ、ちゃんと謝ってよ」

友達のことでこんなにムキになるところも、可愛いなぁ

「最低だってプリクラ見て知ってるけど、南都美いるのに立幸館で遊ぶとか何考えてんの? バカバカ、バカワダ」

「言っとくけど俺、敦ちゃんより頭いいから」

「頭いいイコール人間性が優れてるとは思ってないから」

言葉は厳しいが、的は得てる。

残念なことに、敦ちゃんは黒沢一筋3年で

俺の気持ちは鏡に差し込む光のように跳ね返ってしまう。

「メールも電話もすんなって言われたし、ほとぼり冷めるの待つしか俺にはできないじゃん」

「じゃあ直接口上で謝ればいいでしょ?」
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