√番外編作品集
「ただ、お前のそういう気持ちって心の中だけで外面はいいからマシだな。」

「…………」

「そんな俺たちが、安易に"人"を使って自分の立ち居位置……お前が言うところのy値? を算出しようとしたって無理だよ」

そもそも人に対して過剰な期待はしないんだから。

黒沢は言って、少しだけ間をあけてまたオレンジジュースを飲んだ。

「でも、お前は偉いよ」

理由が女でも、と黒沢はため息をついた。

「え~、黒沢の言うとおりだとしても打破……ってか、まぁ、自分の壁を乗り越えないと、だろ?」

「お前にとっては、自分の道を照らし出すのは女なんだもんな」

「そうだよ。未来の輝かしい道を一緒に歩く女神を俺は捜してるんだよ。冷めた俺が、相手に踏み込んでまで一緒にいたいと思う女神!!」

「で、あんなに手当たり次第してるのに、まだ見つからないのか?」

「そう、だから間違ってんのかなって思ってたんだよ。女の子はみんな好きだよ、だって区別つけようがないじゃん、顔とか性格とか、女の子はみんなどっか必ずいいところあるし!」

「芸能プロデューサーみたいなこと言うな、お前」

黒沢は手前のサラダをフォークで刺して口に運ぶ。

「だから、たった1人の俺の女神のために……」

「まずさ、条件としてお前、会う女はみんな好きなんだろ?」 
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