√番外編作品集
『やっぱりお前、他人に対して淡泊なんだよ』


うん、そうなんだよ。


『そんなヤツが、本当に大切だと思うヤツを見つけて大切にできるのか?』


……だよな。


そう、だよな。



「なんで泣きそうな顔すんの? なんで? どうかしたの? 結婚とか…何かあったの?」

南都美は困った顔をして、カバンから手を離した。

その一線を越えれば、越えればいいのに。

俺だって好きなんだから、もっともっと俺を好きだって言ってよ。

そんなこと、一方的なの分かってるのに。

何度も振り下ろされる姉貴の手を思い出す。

蹴られて殴られた記憶が蘇る。

人を真剣に愛しても、報われない現実を知ってるから。

真剣になるほど辛いのを知ってるから。
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