√番外編作品集

友達の弟、若いから可愛い、そんな遊び相手に違いない。

「でもあんたの問題は、家族の問題でもあるでしょ。家族と恋愛観って結構繋がりあるわよ」

「……んー…親みたいな恋愛とか結婚はしたくないとは常々思ってる」

「そういうこと。考えちゃうから動けないのかもね、康平は」

早苗さんが笑う。

このかすれるような妖艶な微笑みが俺は好きだ。

「何も考えない方がいいよ、あんたは」

「早苗さん、でも、バカはキライっしょ」

「あんたは頭いいわよ。お勉強じゃなくて上手な人生の生き方を知ってる」

キャバクラ嬢は褒め方も上手だな

でも素直に受け止められるから早苗さんの言葉は凄い。

「早苗さんが運命の女神だったらいいのに」

「だったらいいのに、ってちょっと傷つく発言ね」

「早苗さんはスキだよ、上手だし。でも運命の女神じゃないんだよ」

「分かってるけどね。真剣な顔して言われると女としてなんかムカツク」

早苗さんは額を指でぐりぐりすると、そっと耳元で呟いた。

「あんたは淡泊じゃないのよ、寂しがり屋で臆病なだけ」

「……そーだね」
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