√番外編作品集
「だからそのたび傷ついたり悩んだりするのが怖くて、嫌なのよ」
「誰だって傷つきたくないでしょ、早苗さんだってそうじゃん? 」
「あんたはそれが顕著なの!」
デコピンはつけ爪効果もあって痛かった。
「ま、ガラスの10代ってことね~あー初々しい」
「俺も早く早苗さんみたく図太くなりたいよ」
「殺されたい?」
「早苗さんなら」
「イケメン君、言うわね。それが口先だけだって、知らない女の子たちは可哀想だわ」
口先だけじゃないって、ホントだって。
死にたくないけどさ。
早苗さんはサイドテーブルに載せていたシャツを投げてよこすと、リボンタイを首に回して丁寧にリボン結びしてくれた。
「男の子なのにリボンタイなのね、康平の高校は」
「よくなくすよ、ほどけたり」
「そのたび女の子に結んでもらうんでしょ?」
「うん、俺はねーそういう仕草すごいスキ」
目の前の早苗さんの細い手にキスをすると、早苗さんがまた妖艶に笑った。
「あんたホント、無邪気攻めよね」
「違うよ、俺誘い受だよ」
「なんでも有り」
「それでもいいな。受け皿大きい方が得するよね?」
俺の言葉に、早苗さんは本当に苦しいくらいにタイをきつく結んだ。
「いつか私を後悔させるくらい、いい男になりなさいよ。むかつくから」