√番外編作品集
なによりあのガラスの瞳、待ち受けに表示されていたあの瞳より、ずっと澄んでいた。
誰に聞かせるつもりもないように、自分に向けて歌うように。
あの血走った瞳
怖かったけれど、あの血走った瞳はもしかして──泣いていたんだろうか
潤も私を助けようとして……泣いてくれた…
怖かった、怖かった、怖かった。
だけど、私に生きてと泣いてくれる人がいるのに私は死んだりできない。
恐怖に負けたらだめだ。
ちらり、と視線を袖机の上に置いたケータイへ向ける。
画面を見る気にはなれない。
そこにはいつカウント0を示してもおかしくない待ち受けが表示されている。
森先輩が怖くなって見なくなった理由がよく分かる。
河田君は、何も言わず、私も暫く何も言わなかった。
数十分無言の空間が続き、途中看護師さんがやってきて河田君が一度外に出たが、すぐ帰ってきた。
「あの……」
せっかく私のためにきてくれているのに申し訳ないと思って続きの言葉を用意してもいないのに声をかけた。
「なに?」
河田君は持っていたケータイを下げて私に視線を返した。
誰に聞かせるつもりもないように、自分に向けて歌うように。
あの血走った瞳
怖かったけれど、あの血走った瞳はもしかして──泣いていたんだろうか
潤も私を助けようとして……泣いてくれた…
怖かった、怖かった、怖かった。
だけど、私に生きてと泣いてくれる人がいるのに私は死んだりできない。
恐怖に負けたらだめだ。
ちらり、と視線を袖机の上に置いたケータイへ向ける。
画面を見る気にはなれない。
そこにはいつカウント0を示してもおかしくない待ち受けが表示されている。
森先輩が怖くなって見なくなった理由がよく分かる。
河田君は、何も言わず、私も暫く何も言わなかった。
数十分無言の空間が続き、途中看護師さんがやってきて河田君が一度外に出たが、すぐ帰ってきた。
「あの……」
せっかく私のためにきてくれているのに申し訳ないと思って続きの言葉を用意してもいないのに声をかけた。
「なに?」
河田君は持っていたケータイを下げて私に視線を返した。