√番外編作品集
「あ、そうそう、その友達。お前帰ってこないから、鈴さんが相手してたよ」
「ふーん、誰だろ。青木かな、黒沢ってことはないし……」
階段を登りながらミズとすれ違うと、ミズは青のカラコンの入った目を細めてボソっと呟いてくる。
「ホスト寮に女連れ込むって、ど~なの? 支配人にチクっちゃおうかな」
「え? 女!?」
「そーだよ。制服きてた。ガッコーなんて何が楽しいのか分からないけどね」
ミズはそれだけ言って、喫煙フロアに落ち着いてしまった。
だれだよ、家は姉貴もいるから女子連れ込みなんてしたことないのに。
つーか場所しってるヤツなんていないよ?
「ただいま!!」
古びたドアを開けると、姉貴がタバコをくわえて立っていて、コチラに視線を投げた。
「あーお帰り。悪いけどアタシ、煙草買ってくるから友達よろしくね」
「誰?」
「えっと、同じクラスの子だよ、じゃ、あたし行くから」
姉貴は俺とすれ違いながら、肩をポンポンと叩いた。
居間に乗り込むと、なぜかそこには山岡ちゃんがいた。
なんで?
なんで山岡ちゃん?
幻?