√番外編作品集
「河田ちゃんと客呼べよ? お前顔広いんだから」

クラス委員の言葉に、俺は大げさに頷いた。

文化祭を名目にこれで疎遠だった女の子たちにメール連絡ができる。

むしろ大歓迎だ。

あ~ 久しぶりに真奈美とか、涼子とか、カナとか呼ぼう~

「じゃ俺は不参加組で、裏でオレンジジュースでもタダ飲みさせてもらおうかな」

黒沢が呟いた言葉を

聞き逃すはずがない。

俺だけじゃない周りにいた奴ら全員だ。

企画書を丸めて黒沢を叩くと、黒沢は叩かれた後頭部をさすりながら俺に視線を投げた。

黒沢の黒い髪が影になって、良い具合に視線が恐ろしかった。

「コソコソ飲まなくたって客さえ入れば飲めるって」

岸三田がフォローを入れると、黒沢は少しブスっとした顔をして足を組んだ。


「面倒」


「偉そうに文句垂れるな!」

俺がもう一度怒鳴ると、黒沢は明らかに不快な顔をして見せた。

「いいか、お前だって高校最後の思い出くらい作りたいだろ」

「おい卒業まであと1年はあるんだぞ」

「もっと協調性持てっつーの」

俺のやる気満々の言葉に、黒沢は萎える一方だ。

だけどなぁ、黒沢……

お前だってイケメンだと思うぞ。(俺には劣るけど?)

こういう時くらい自分の顔使って稼ごうぜ?
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