狂者の正しい愛し方
「あ、アバズレ!?」
「ちょっと、なんなのアンタいきなり!?」
怒りますよね。
無理ないですよね。
本当佐薙さん何やってんだかね…ッ!!
意地でも止めたかったけれど、そう思うのは頭だけ。
体は硬直してしまっていて、コップ越しに伝わってくるアイスコーヒーの冷たさなんて少しも感じない。
女の人達に睨まれる佐薙さんもまた、目だけでありありと気迫を示している。
……あ、良い子は「アバズレ」なんて汚い言葉使っちゃ駄目だからね?
「……い、いいよ佐薙さん、私、気にしてないし……。」
険悪なムードに挟まれながらも、なんとか落ち着いた感じを装って言葉をかけた。
大丈夫。佐薙さんだって人間なんだし、根は優しいし、……男友達のときみたく、この人達にまで手を出すなんてそんなそんな……。