狂者の正しい愛し方
視線……周りの人々と、私達二人の視線は女の人達を見送ってから、
佐薙さんただ一人へ注がれる。
「……何、見てる?
鼻っ面砕くぞ?」
恐らく私を除く全ての観客にそんな物騒な一言を告げれば、
「あー、ここのホットドッグ、マジうめー!」
「ねえねえ、次の映画これ観よっかー!」
「やっぱ昼飯は静かなコーヒータイムに限るなぁ~!」
まるで今の事件は無かったことのように、お客さん達は各々の世界に戻って行った。
ノリ良すぎだなあんたら!!
「ごめんな晴姫…。
あの二人のせいで完全に空気が悪くなってしまって…。」
ほとんど佐薙さんのせいですけどね。
「挙句晴姫が周りの客の見世物になって…。
…不快ならいつでも俺に言ってくれ。一人ずつ丁重に片付けるから。」
むしろ見世物なのは佐薙さんのほうですけどね。