狂者の正しい愛し方
晴姫の想いは本物だが、晴姫には俺の他にも、“好きなもの”が数え切れないほどある。
それは友人、親戚、両親。
もっと言ってしまえば、猫や犬や、飲み物、食べ物などの無機物まで。
晴姫は、俺よりもそれらの物のほうが、「好きだ」と多く言う。
早い話が、嫉妬だ。
男だろうが女だろうが、生きていようが死んでいようが、俺は全てのものに嫉妬する。
晴姫の気を引くもの全てが、憎く感じる。
……だから、だろう。
俺が晴姫の「好き」を聞いても満たされないのは、
晴姫が“俺以外のものに目を向けているから”だ。
それなら、俺はどうすればいい?
どうしたら、晴姫は俺だけを見てくれるんだ?
どうしたら晴姫は、俺だけを求めて、俺だけを愛してくれるんだ?
……不可能だ。今のままでは。
何故なら、晴姫は“常人”なのだから。