狂者の正しい愛し方


それから嬉しくて、帰路は一度も手を離さずに歩き続けた。

外でのスキンシップは恥ずかしくて嫌だったけど、今はとても清々しい。
むしろ、声を大にして「もっと見ろー!!」と言いたいくらいだ。言わないけど。



「最近の公衆トイレって清潔だけど、狭いし鏡無いとこ多いですよね。」


浮かれてるのを悟られないがために、適当に話題を引っ張り出してくると、


「大丈夫。鏡を見なくても、晴姫は十分綺麗だから。」


佐薙さんが3倍くらい真面目に返してくれた。

流石に鏡を見ないのはまずいだろう。
なんだかここしばらく見てない気がする。

髪は問題なさそうだけど、なんか、ニキビとか、そろそろ出来てるんじゃないかな?とか心配になる。



影で髪型を確認していると、ふと、自分の衣服に目が行った。


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