狂者の正しい愛し方



とん、とん、とん……



一歩一歩、確実に晴姫が階段を上っていく。

その後ろ姿がとても小さくてとても愛しくて、今にも階段を駆け上がって抱きすくめてしまいたいくらいだ。


これまで俺が、晴姫の仕草ひとつひとつに衝動を覚えた数など、数え始めたらきりがない。

それは愛情にしろ欲情にしろ、俺が晴姫を愛してるという証明になる。


……抱き締めたい、が、今は他にやることがある。


晴姫を置いて、どうしても果たさなければならないことだ。




……それこそ、愛しい晴姫と、いつまでも寄り添い続けるために。





< 128 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop