狂者の正しい愛し方


隣でキャッキャと騒ぐチビスケ三人組を恨めしそうに見てから、自分の足元を見て溜め息を吐いた。


キイ、キイと緩くこいでから、空を見上げた。

眩しくて、すぐに目を瞑る。


「……佐薙さん……。」


今だけ、傍にいない人の名前を呟く。

これが部屋の中なら、名前付きで、キラキラの笑顔付きで声が返ってくるだろう。


でも今は無い。


少なくとも私の視界には無い。


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