狂者の正しい愛し方



“佐薙さんに逢わなきゃ”



願望が義務に変わる。



ガシャン!


音を立てて、ブランコから飛び降りる。

運動神経はさほど良くないから着地姿勢は少しバランスを崩した。


公園から出て行こうとしているおじいさんが、心配そうに振り返る。

私は照れ臭さそうに頭を下げた。


乗客を失ったブランコは一定のリズムで揺れる。

キイ、キイという音を背後に、私はゆっくりと顔を上げた。



「………あ………。」



公園の入り口に、おじいさんと入れ替わりに、誰かが現れた。


高い背、黒い髪と、今朝も見た真っ白なシャツ。


「佐薙さん!」


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