狂者の正しい愛し方
なんて真っ直ぐな人なんだろうとか、なんて男性らしい人なんだろうとか、感動は嵐のように巻き起こっていた。
…そう、起こって“いた”。
佐薙さんがどうも人と違うと思い始めたのは付き合い始めて僅か一ヶ月。
いや、あれは気付かないほうがどうかしてる。
何度目かのデートで、屋外のベンチに座ってジュースを飲んでいたとき…
『晴姫、美味い?』
『はい、美味しいですよ。
でも、佐薙さんは飲まないんですか?私ばっかり奢ってもらって、なんか悪いです。』
『大丈夫。俺はこうして晴姫を眺めているだけで十分。』
『………へ?』