狂者の正しい愛し方



「やっぱり我慢できなかった。

迎えに来たぞ、晴姫…。」



両手を広げて、佐薙さんは笑った。


佐薙さんは、私を心配して迎えに来てくれたんだろう。


だけど、そんなことしなくたって――



「大人げ無いですよ。

私が佐薙さんの所以外、どこに帰ると思ってるんです?」



「……それもそうか。」



「そうですよー。」



走って、走って、

広げられた腕の中へ向かって、

大好きな人に向かって、


昼下がりの日差しの中、



私はがむしゃらに突っ走った。



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