狂者の正しい愛し方


届いたテレビ台は、白くて角が丸い落ち着いたデザイン。

今ある黒いテレビ台をどけて、代わりに白を置いた。

手伝いと言っても、案の定佐薙さんは、私に力仕事を任せてくれなかった。


他にもカーペットや電球笠も取り替え、いつも来ていた部屋はどことなく印象の変わった場所になった。


「そう言えば、どうして晴姫は授業参観が嫌なんだ?」

暑くなったのか、シャツの胸元を開けながら、佐薙さんが私の向かい側、つまり、テーブルの椅子に座った。


一足先に椅子に座り、冷たいお茶を貰っていた私は、たった今握り潰した紙を渋々広げる。

そこには、これまでの話の流れから察する通り、

“授業参観のお知らせ”

の文が堂々と書かれていた。


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