狂者の正しい愛し方


それを自分の頬に持っていき、上目遣いで私を見る。


…ち、ちくしょう…、カッコイイな…!


「普段晴姫が授業受けてるところ、俺は見たことない。
だから見たい。駄目か?」

「うっ…!!」


好意を持ってる異性にこうされたら、まず断れる人なんていない。
病んでようが狂ってようが同じことだ。

少し押し黙って、私は言う。


「……先生の話長いですよ?父兄の人達も厭きるって、言ってました。」

「大丈夫。俺が見るのは晴姫だけだから。」

「高校生の授業だし、それに現文だし……、佐薙さんが面白がるようなことは……。」

「大丈夫。文系だからそういうのは好きだ。」


のらりくらりとかわしまくる佐薙さん。

ああー、なんか一度くらい絶句させてみたい気も……。


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