狂者の正しい愛し方
まず、私は天気を確認した。
空は、この時期には珍しい見事な日本晴れ。
道行く人の中には半袖の人だっているし、冷たい飲み物を買う人だってたくさんいる。
なのに、見ている限り佐薙さんは何も飲んでいない…。
しかも服装は黒のタートルネック。
見ているほうが暑苦しい。
いつ熱中症になるとも分からないのに、佐薙さんは至って涼しげな顔だ。
私の感覚がおかしいのではと、自分の額と缶ジュースの温度を確かめる。
確かめてから、断言した。
やっぱり佐薙さんがおかしいんだ。
と。