狂者の正しい愛し方


―――


「あ、ごめん佐薙さん。
私そろそろ帰ります。」


時計は夜の八時を指している。

隣町の佐薙さんの家から私の家までは、徒歩で一時間かかる。

電車を使う距離でもないけど。


家の門限が九時だから、今から帰り始めないと間に合いそうにない。

ちなみに門限九時というのは、両親が家に帰ってくる時間だ。


夕食のスパゲティをご馳走になっていたときに思い出したものだから、どちらも食べかけ状態。



佐薙さんは半分も食べてないのに、すぐにフォークを置き、外出支度を始めてくれた。


「家まで送る。夜は危険だから。」


ほぼ毎日、佐薙さんは私を自宅まで送ってくれている。


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