狂者の正しい愛し方
「………晴姫、平気か?
暗い顔してる…。」
「え…?」
フォークを握ったままの私の手を佐薙さんが優しく掴んだ。
現実に意識を戻して、私は目の前の人を見上げる。
……どうでもいいや。
両親の問題は。
私には…佐薙さんさえいれば…
「それでいいよ。」
「?」
佐薙さんが首をかしげた。
私が下から見上げ、その瞳をじいっと見つめる。
すると、次第に佐薙さんの顔が近くなってきて…
心の靄を覆い隠すように、唇が重なった。
……あ、なんか久しぶりだ、キスするのなんて…。