狂者の正しい愛し方


「そう言えば、俺は晴姫のご両親を見たことがない。
あの二人は、ちゃんと晴姫の面倒を見てるのか?」


見てるわけがない。

「勿論です。ちゃんと可愛がってもらってますよ。」



「父兄参観にも来ないんだろ?休日なのに。どうして?
娘が可愛くないのか?」


知りませんよ。

「忙しい人達だからなぁ…。
ちょっと無理なんじゃないですか?」



「晴姫、最後に褒められたのはいつだ?」



………え?


「…………え……?」


表情が崩れてしまった。

佐薙さんは真剣な…いや、怒気を含んだ表情で、じっと私を見つめてくる。


気迫に圧されて、私は生唾を飲み込んだ。


< 68 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop