狂者の正しい愛し方


褒められたの、なんて…、

随分昔…。


四歳のときしか、覚えてない。


誕生日のとき、美味しそうなケーキだけが机にぽつんと用意されてた。

おめでとう、の一言は、ケーキに乗ったプレートだけ。


入学式のとき、一緒に出てくれたのは両親ではなく、親戚だった。

あの時言われた“おめでとう”も、結局私の欲しい言葉じゃなかった。



受験で合格した日の夜、帰ってきた両親にそのことを報告した。

返ってきたのは、


“高校に受からなかったら話にもならないんだぞ”


だった。



狂いそうになった。



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