狂者の正しい愛し方


『さ、佐薙さん!
何も水分摂らないのはまずいですよ!
ほら、私の飲んでください!』


私は善意で、佐薙さんに缶ジュースを押し付けた。

飲みかけで申し訳ないけど、今はそんなことに構っていられない。


早く飲んでください。

そう、言おうとした時だった。




『…いいのか?

あ…、嬉しい…。

晴姫の飲んでいたものが飲める。』



今 な ん と ?



幻聴だ幻聴だ幻聴だ!
疲れてるんだ私は!!


そう自分に言い聞かせ、それでも確認までに、


もう一度訊ねてみた。



『…あの、佐薙さん…?
今なんて、言いました?』


< 7 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop