狂者の正しい愛し方


「晴姫、苦しい?」


「え………。」



……苦しい?


……いや、苦しいとか、そういうのとは、違う気がする。


なんて言うか…、全てに失望した感じ。


両親だってそうだし、

友達の中には、甘えられるような子なんかいない。


……ただ一人、私が甘えられるのは……、



「佐薙さんさえいれば、私、他に何も要りません。」


佐薙さんが、黙った。


「……晴姫………。」



口を薄く開けて、見つめてくる佐薙さん。

いつもと違って見えるのは、私がいつもと違うことを言ったからだろう。


愛を囁くのは佐薙さんの役目だから。



「……そういうこと言うと俺、晴姫を監禁するぞ?」


ギュッと抱き締められながら囁かれる言葉。

「佐薙さんが言うと、シャレになりませんよ。」


私も同じく背中に腕を回した。


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